石川県輪島市での漆の植栽活動について、お話を伺うことができました。
苗植え後6年程の植栽地も見学。 それほど広くはありませんでしたが、大変きれいに手入れされた美しいウルシ畑でした。
輪島は日本を代表する漆器の産地ですが、現在、漆液はほとんど採れません。
しかし戦前までは他の地域と同様に、里山にウルシの木が生え、漆掻きがウルシの採取をしていました。
戦後、漆の生産は廃れてしまい、
昭和の後半以降、何度か補助金などを活用して植栽活動が試みられたことがありますが、 植栽のあとの育成中の管理が行き届かず、ほとんどが漆掻きができるほどまで育ちませんでした。
6年前に地元でプロジェクトを立ち上げて、輪島で漆の木を育て、漆を掻き、漆器を作るところまで一貫して行えるよう、活動を開始しました。「輪島漆再生プロジェクト」です。
お話を聞かせてくださった若宮隆志さん。
卓越した漆芸技術で魅惑的な作品を次々と生み出す「彦十蒔絵」の代表です。
いま活動は、市の助成も受けて徐々に漆の調査、植栽、漆掻きをすすめています。
輪島市内に残る漆掻き職人は親子2人。お父さんの方は、なんと93歳の大ベテラン。戦前の輪島漆を知る貴重な存在です。加えて1人が養成中です。
この2,3年で地元で関わる方も増えてきました。それでもまだ少ない、とも感じます。
漆に関わる仕事をしている人が非常に多い地域でありながら、このプロジェクトに関心を寄せているひと、関わっているひとはまだ十分とは言えません。
国産漆だけが優れているわけではなく、中国産漆が一概に悪いわけでもありません。用途によっては中国産の方が適している場合も多くあります。
しかし、現在の消費量の98%を中国産に頼るという状況は、地元の産業を安定的に維持するために非常にリスクが高いです。また、重要文化財修復に国産漆を使用することが決められた今、絶対的に国産漆が足りないために、需給バランスが崩れ、価格問題が生じつつあります。
他地域でも同様ですが、地元の人の参加率をいかに高めていくかが、成功のカギとなります。
輪島の漆再生のための植栽は、昭和46年以降、3度目の挑戦。
3度目の正直で今度こそ成功しますように!
「輪島漆再生プロジェクト」の活動は、Facebookでも紹介されています。
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